デジタル化が進む昨今、データ活用がビジネス推進の鍵となります。本セッションでは、自社が持つ顧客データを収集・統合するためのデータ基盤、CDP(Customer Data Platform)を提供するトレジャーデータ株式会社と、データを活用した事業変革を支援するインキュデータ株式会社の2社が、製薬業界におけるデータ活用について事例を交えて紹介しました。

本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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登壇者
インキュデータ株式会社
Principal Consultant,Business Consulting
岡永 卓矢
 

製薬業界における今後のデータ活用の姿

前半は「製薬業界における今後のデータ活用の姿」というテーマで、マーケティングとセールスでの課題や先行事例についてインキュデータ社・岡永氏が解説しました。

 

昨今の法人営業を取り巻く環境の変化

まずは、法人営業をとりまく環境変化全般を紐解きます。一般的な法人セールスでは、多くの場合オフラインで関係性構築、交渉、アフターフォローを行います。オンライン上でのタッチポイントもありますが、限定的なものです。
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「コロナ化以降、この営業のあり方が変化しオフラインで出来ないことが増え、対面での営業活動を行っていた多くの法人セールスがダメージを受けました。新規開拓においては、顧客接点を持つことができず、ニーズや商談のタイミングが探りきれない、フォローができないなどの状況から、気が付いたときには解約されてしまうケースも目立つようになりました」と岡永氏。

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あるインタビューの結果から、約50%の企業が営業活動に課題を感じており、製薬業界においても同様に新規開拓、関係性構築、アフターフォローの課題があると回答しています。

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製薬マーケ・セールスにおける課題は大きく3つあります。
  1. 医局訪問や専門医面談ができないため、決裁権を持つ担当者と関係を構築できない
  2. 専門医の治療に関する悩みなどを把握することができず、クリティカルな提案ができない
  3. 自社製剤の”実は”という不満を伺うことができず、対応薬を議論する前に他社乗り換えが突発的に発生してしまう。

これらの課題はコロナが原因ではなく、「個人営業スキルのバラつき」として元々存在していたものです。個々が解決すべき課題ではなく、業界及び事業が組織として解決すべき課題だと岡永氏は言います。

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他社先行事例から見る”データ活用による法人マーケティング・セールス”の取り組み

今取り組むべきは、従来活用していなかったオンラインでのタッチポイントを強化することです。例えば、新規開拓において「どんなお客様が」「どのように興味を持って自社へアクセスしたか」を体系的に捉えることにより、優先すべき顧客の見極めや成約率の検討に繋がります。ドクターがホームページの何を見ているかを捉え、相手が必要とする適切なタイミングで提案できるようになります。

とはいえ、オンラインを主軸と捉えるのではなく、オフラインとの共存を軸に、オンラインを活用してオフラインの限られたチャンスを確実に掴んでいく仕組みを作っていくことが重要となります。

ここで、新規開拓で取り組んだ事例が紹介されました。

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岡永氏曰く、「お客様の行動をいかに最適なタイミングで捉えていくかが重要」で、その視点でデータ活用を考えます。紹介された事例においては、

  1. お客様自身の企業のあり方が変わった為に購入量が増えた
  2. お客様(企業)が何か情報を発信しているタイミング

この2点にフォーカスしたことで、お客様の熱が冷める、或いは不安が大きくなる前にこちらから電話や訪問のアプローチできるため、今ある取引を最大化、或いは取り引きの減少を抑制するという仕組みを構築することができると言います。

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法人営業における今後のデータ活用のあるべき姿

前出の通り、オンラインとオフラインをいかに共存させて、これらを相乗効果によって最大限にしていくかが鍵となります。顧客に関するデータを蓄積し、オフラインのコミュニケーションに活用します。

『最近の来院傾向は〇〇なので、これはいかがでしょうか?』
『最近は臨床のニュースでこのようなことを気にされていますよね』
といった会話により、医師たちが「私たちのことを誰よりもわかってくれている営業だ」と感じるような関係性を構築していくことで、オフラインでの反応をデータとしてオンラインのセグメントの正しさが見えてきます。このサイクルが勝ち抜くために重要となると岡永氏は言います。

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DXとはビジネスのあり方を変えること

昨今語られるデジタルトランスフォーメーションの多くは、デジタル化の推進を指しています。しかし重要なことは、今の業界・業務のあり方を変えることであり、そのためにはマーケティング戦略・経営戦略・事業戦略を高度化することです。そして、それを支えるものが企業の資本・資産となるデータです。企業内には活用されていないデータが数多く存在するため、資産としていかに活用するかに注力すべきだと、岡永氏は言います。

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医療業界においては、他社では出来ない「自分たちのことを最も理解してくれる営業」というポジションを得る必要があります。

そこで、「情報をフルに活用するため」に、自社の持つデータや外部のデータを集めて繋げていく仕組みを構築していくこと、その仕組みによって出来たデータを営業のために活用する仕組みを構築すること、この両軸に力を入れていくことが重要となります。

終わりに、「ここから真のDXを体現していき、業界の『ゲームチェンジャー』として進み、最終的には『負けない企業体質』をデータを中心に据えつけていきましょう」と岡永氏は締めくくります。

データ活用の重要性を認知しているけれど進まない、浸透しないという課題を抱える方は、プロのサポートをうまく利用することが成功の近道かもしれません。

 

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【トレンド】製薬業界における今後のデータ活用の姿(2/2)トレジャーデータ社

 

本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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