こんにちは。筆者は新卒でMRとして製薬会社へ入社後、異業種へ転職しました。こちらの記事は、以下のようにお考えになっているMRのみなさま向けに書いています。
「副業興味あるけど、どんな仕事があるの?」
「MRにとって一番いい副業が知りたい」
「副業する際に気を付けるべきことってなに?」
お役に立てる情報が少しでもありましたら、うれしい限りです。
製薬業界と製薬会社MRに関する動向
まずは副業の話を始める前に、皆さまが活躍している製薬業界ではどのような状況にあり、なぜ新しいチャレンジを推奨するのかお話します。
15年前の製薬業界
筆者が新卒で製薬業界へ就職したのは10年ほど前ですが、当時採用説明会で多く耳にしたこともあり業界に対しては以下のように認識していました。
・情報提供を通じ、患者さんの健康に貢献できる
・給与水準が高い
・業界自体が安定している
それでは、現在はどのような状態なのでしょうか?現状と新たな取り組みについてご紹介します。
現在は市場の成長が鈍るなか、ビジネスモデルの転換が求められている
令和2年度の調剤医療費(電算処理分に限る)は7兆4,987 億円であり、対前年度同期比(伸び率)でみるとマイナス2.6%でした。
この傾向は過去5年分のデータを見ても同様のため、国内医薬品市場はほぼ頭打ちと見受けられます。
(※引用元 厚生労働省「調剤医療費(電算処理分)の動向~令和2年度版~」)
これまで化学合成に強みを持つ日本の製薬メーカーは、多くのブロックバスターを産出し、売上高を伸長していました。
しかしながら、2000年頃より新薬候補は出にくくなっており、大型新薬を狙ったブロックバスターモデルを維持することは難しくなっています。
また現在では、AI活用による創薬の取り組みや、個々の患者の性質・病状により効果が発揮される再生医療やバイオ医薬品が注目されています。
(※引用元 経済産業省「バイオ医薬品関連政策の視点ー 我が国における創薬事業の発展に向けて ー」)
更に異業種(ゲーム / 保険 / IT 等)とのコラボレーションにより、予防・診断・予後へ貢献する範囲も拡大しているようです。
製薬会社MRに関する動向
そのような業界の状況を受け、MRという職種はどんな状況にあるのでしょうか。データに見る動向および、現役MRであるAさんのインタビューをご紹介します。
MR数は減少続き、7年前から2割減に
MR数の推移に関しては、2021/11/22のAnswersNews記事にまとめられています。
(※引用元 Answers News 2020 2021/11/22「MR減少に拍車…20年度 過去最大の3572人減」)
筆者はMR減少の背景のひとつに、先ほど述べた業界全体の市場の伸び悩みやブロックバスターモデル維持の難航が挙げられると考えています。
またWebディテーリングツールやメッセージツールも登場しており、対面でなくとも製品情報の伝達が可能となったために、移動や待ち時間の多かった従来のMR活動が効率化されていることもあるかと思います。
このような状況の中、実際に働いているMRの方はどのように感じているのでしょうか?現役MRの方にインタビューした内容をご紹介します。
現役MRであるAさんの実感する「MRの今」
Aさんは大手製薬会社で新卒からMRとして働いてきた中堅世代の現役MRです。今回は、MRを続けていて実際に感じる変化についてインタビューをしました。
ーまず、働く環境の変化について教えていただけますか?ー
コロナ渦でリモートワーク中心になり、インターネットを使うことが増えました。面談方法は半分ほどリモートです。
傾向としては病院の先生はリモートで、開業医の先生は直接お会いすることが多くなっています。
開業医の先生は「営業は直接対面で行うべき」というお考えの方が多いように感じています。
ーリモート面談で大変なことはありますか?ー
音声トラブルが多く、思ったように面談ができないことが多々あります。
またリモート面談となると先生も構えて聞いているため、事前準備に必要な時間が増えました。
先生の中にはリモート面談に慣れていない方も多く、セットアップ作業などにお手間をかけて申し訳なく思うこともあります。
ー訪問面談と同様に出社も減ったのではと思いますが、社内の人間関係に変化はありましたか?ー
変わりましたね。風通しの良い雰囲気になったと思います。
リモートワークになると、スケジュール・タスク管理を自分で行うことが更に重要になりました。
以前は営業所長の指示どおりに動くべきという雰囲気がありましたが、今は各自がリーダーシップを持って活動することが求められています。
不明点は色々な人に聞き、成功事例は自分から発信するという姿勢が勤続年数に関係なく求められるようになりました。
ー職位や勤続年数を意識する場面が減ることでいい変化もあるのですね。仕事のやりがいにも変化はあったのでしょうか?ー
ありますね、やりがいは増えたと実感しています。
講演会の企画が増えて、自分がやりたいように企画を作ることができました。
予算の兼ね合いはあるものの、調整してもらえる環境に変わりました。
ーなぜそのように変わったのだと思いますか?ー
MRの数が減ったことで、1人1人の担当エリアは拡大しています。
「エリアのオーナーになる」意識を持つよう会社が奨励してくれているため、担当者の意向を最大限尊重してくれるようになったのだと思います。
Aさんの話す表情は明るく、変化に適応してやりがいと責任を持って仕事をしていることが伺えました。MR数が減少していることは事実ですが、一方で業界とともにMRもチャレンジしていくチャンスはあるようです。
次の記事では、新たなチャレンジのひとつとなり得る「副業」について紹介していきます。