「デジぽちLab」を運営するエムスリーデジタルコミュニケーションズの「中の人」が、製薬・医療業界に携わる様々な人に向けておススメの書籍を紹介する記事シリーズです。
書籍情報
画像:amazon.co.jp |
書籍名:ケーキの切れない非行少年たち |
出版社:新潮社 | |
著 者:宮口 幸治 | |
発 刊:2019年 | |
頁 数:192ページ | |
内 容(公式サイトより抜粋): 児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。 |
少年院に行き着く子どもたち それは「教育の敗北」
なぜ幼い少年がこれほどの凶悪犯罪に手を染めてしまったのだろう…。
そんなことを考えたことはありませんか。
犯罪の加害者となり少年院に行き着くような子どもは、認知機能に問題があることが多いそうです。
目の前のものが歪んで見えているためにケーキを3等分することすら難しい、というのは医療少年院に勤務していた著者が実際に目にしたことです。
本書を読むと、そのような子どもの幼少期からのSOSを見逃し、適切に支援できていない現代の教育制度に課題があることを痛感します。
間接的ですが医療業界に携わる私としては、そもそも発達障害の診断がつかない限り、医療の力だけでそういった子どもを救うことはできないのだという実態に衝撃を受けました。
医学的な知見は、困難を抱える子どもへの支援制度をつくる上で重要であることは言うまでもありませんが、多方面の専門知識を連携させて子どもたちのニーズを把握し、支援体制を充実させていくことは、社会の急務ではないでしょうか。