日本最大級のポータルサイトを運営するヤフー株式会社では、同社が持つビックデータを活用した調査・レポーティングをサービス提供しています。Pharma Marketing Day 2022 では、「ヤフーのデータを使ってペイシェントジャーニーをいかに理解していくのか」にフォーカスし、製薬業界での活用事例を紹介しました。

本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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登壇者
ヤフー株式会社
データソリューション事業本部
クライアントソリューション部 部長
新庄 匠

 

月間5,500万人超のログインユーザーを持つビッグデータ

ヤフー株式会社は、日本最大級のポータルサイトを運営しており、月間ログインユーザー数は5,500万人を超えます。様々なデータを持つ同社ですが、代表的なものが検索データです。検索データをみることで、人々が日々どんなことに関心を持ち、何に悩んで困っているかを導き出すことができます。

その他にも、IDに登録されている性別や年代をかけ合わせながら色々な調査、分析を行っています。

 

製薬業界が抱える課題

製薬企業の抱える課題の中でも、「本質的に患者さんが深く悩んでいるインサイトを理解したい」「自社が発信する情報がどうすれば効果的になるか」という声が多いと語るのは新庄氏。今回はこの2点にフォーカスし、ヤフーの検索ビックデータをもとにしたペイシェントジャーニーについて解説しました。

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検索データを使ったペイシェントジャーニー分析の進め方

セッションでは、検索データを使ったペイシェントジャーニー分析の3つの手順について解説されました。

  1. ヤフーが持つ検索データから特定の疾患患者と思われるユーザーを抽出
  2. 抽出したユーザーが起点前後に検索したワードをカテゴライズ→検索数の時系列変化や検索順パターンを可視化
  3. 検索後アクセス先URLの情報も加味してジャーニーを作成 

※クライアントに提供されるのは、個人を識別できない統計化されたデータのみです 。

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ペイシェントジャーニーを作成するにあたってはじめに行うことは、ヤフーが持つデータから推定される特定の疾患患者=ターゲット群を抽出することで、ターゲットが検索するであろうキーワードを条件定義しながら設計します。

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「例えば、〇〇の患者を抽出する場合、『〇〇 治療法』や『〇〇 薬剤名』や『〇〇 病院名』といった検索事項であったり、具体的な薬剤名をキーワード検索している人達は非常に高い確率で患者さんと推測できます。このように条件設定を進めることが最初のアプローチです」(新庄氏)。検索回数に合わせたしきい値の設定など、クライアントとディスカッションしながら選定します。

次のステップでは、ターゲットの検索行動を時系列にして可視化します。例えば、「病院を検索する前の検索を見たい」時に、症状から検索し始める人もいれば、他の疾患名を何度も検索した上で病院を検索する人もいるなど、実際に患者と思われる人たちも検索の行動パターンは様々あり、これを定量化する作業を行うものです。

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そして、ターゲットが検索行動以降にどのような情報へアクセスするかも加味した上で、最終的にペイシェントジャーニーを作り上げていきます。

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ここで、ある製薬企業の事例が紹介されました。とある疾患において、疾患名の検索や疾患にたどり着く前の患者の検索行動を可視化する、という内容です。

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「この事例では、患者数は多いが認知度が低く、この疾患にたどり着く前に別の病気と勘違いをして検索行動をしていたことが可視化されました。その結果から、啓発サイトに『あなた達、この疾患だと思っているかも知れませんが、実はこの疾患かも?』という問いかけで情報提供をし、検索行動のデータを直接的にコンテンツへ反映するという次のアクションを見定めることができるのです」と新庄氏は語ります。

 

検索行動にデータは現れるのか?

 実際に、検索行動はどのようにデータとして現れるのでしょうか?
新庄氏は次のように語ります。

「ある疾患について検索した人たちは、前後にどのような検索ワードを使っているのでしょうか。病名を検索する前に、身体に異変をきたしている症状、例えば『倦怠感』『特定部位への痛み』などを検索します。その後、「保険適用」「疾患に関するブログ」「化学療法とは」といったキーワードでも検索されていることがわかります。自分の体に異変を感じた時は、病院へ行くよりも先にまずは自分で情報収集をするという行動パターンが多くなるので、ヤフーの検索行動は非常に多くのパターンを見出すことができるのです」。

もちろん、ターゲットとなる患者以外に医療従事者も検索データに含まれるので、分析する上でノイズとなるターゲット外のデータを除外し考える必要があり、ヤフーはこの工程にも対応しています。

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ビッグデータを活用し、何をするか

今回のテーマであるペイシェントジャーニー以外にも、患者とのコミュニケーション改善や疾患啓発サイトの情報提供、コンテンツ改善やSEOなど、何を求めるかによって様々なデータを提供できるのは、ヤフーが持つデータがあってこそではないでしょうか。

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本記事は2022年10月5日開催「Pharma Marketing Day 2022 presented byデジぽち」のセミナーセッションを記事にしています。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。
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