MRにとって情報収集は業務に不可欠なプロセスです。ミクスオンラインの調査※によれば、成果を上げているMRほど学術誌から情報収集している割合が高いそうです。
本コラムでは3回に分けて、英語の論文の検索・読解のコツを探ります。
1回目はPubMedの基本的な使い方をご紹介します。
担当医師の論文を検索する
今後のエンゲージメントを高めていくためにも、担当医師が過去に発表した論文を把握したいところです。
名前と所属をPubMedのメイン画面に入力して検索してみましょう。
PubMedでは、英語はもちろん日本語の論文も探せますが、入力は全て英語で行わなくてはなりません。
ホームページや名刺などで所属機関や著者の正確な英語表記を調べておきましょう。
著者名の入力方法
著者名を入力する際には
● ファミリーネームは略さない
● ファーストネームやミドルネームは頭文字で略す
のが一般的です。
ただし2002年以降の論文で原著に記載があれば、略さずにフルネームで検索することも可能です。
注意すべき名前の表記
「けんいち」「じゅんいち」「しんいち」といった名前を英語表記する際には、ハイフンやアポストロフィーで「ん(n)」と「い(i)」の間に区切りを入れるのが一般的です。
例えば「けんいち」でしたら「kenichi」や「kennichi」ではなく「ken-ichi」または「ken’ichi」のようになります。
また「うえだ」は、「ueda」だけでなく「uyeda」と表記される場合があるので注意が必要です。
タグを活用する
「山口大学の山口先生の論文を探したい」というような場合、「yamaguchi」と入力してしまうと、著者名なのか所属名なのか区別されず、膨大な量の文献が検索されてしまいます。
検索するキーワードの属性を指定するには、メイン画面の入力ボックス左下にある「Advanced」をクリックしてPubMed Advanced Search Builderを使う方法がありますが、メイン画面においてもキーワードにタグをつけるだけで簡単に属性を指定することができます。
よく使われるタグとしては次のようなものがあります。
例えば、山口大学の山口太郎先生が書かれた英語の総説を探したければ「
yamaguchi university[ad] yamaguchi t[au] english[la] review[pt]
」
と入力することになります。
検索結果を絞り込む
mRNAワクチンの開発に多大な貢献をしたカタリン・カリコ(Katalin Kariko)博士の論文を検索する想定で、検索結果の絞り方も見てみましょう。
「kariko k mrna」と入力すると次のような画面が表示されます。
一番上には2020年に発表された論文が、2番目には2014年に発表された論文が表示されました。
①最新の論文を表示する
「Sorted by(並び替え)」の右横に表示されている「Display options(表示オプション)」をクリックし、「Sort by」のプルダウンから「Most recent(最新)」または「Publicaion date(出版日)」を選択します(①赤枠部)。最新の論文から順に表示されます。
②論文の種類を限定する
左のサイドバーのARTICLE TYPE(②緑枠部)から論文の種類を選択すると、該当する論文のみが表示されます。
例えば臨床試験のみを表示したい場合は、Clinical Trialのチェックボックスを選択します。
③除外するキーワードを追加する
検索から除外したいキーワードがあれば、「NOT <キーワード>」のように画面に入力します(③紫枠部)。
例えば、in vitroの実験から得られた知見を除外したいのであれば、「kariko k mrna」に続けて「NOT “in vitro”」と入力します。
なお、2語以上からなる用語を「 “ ” (ダブルクオーテーション)」で囲むと、ひと固まりのフレーズとして検索されます。
検索結果を絞れば、読むべき論文を探すのも楽になるでしょう。
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次回はPubMedのMeSH機能を使った文献検索方法をご紹介します。