医薬品開発は莫大なヒト・モノ・カネを投じて遂行する、スケールの大きなプロジェクトです。
本記事では、プロジェクト/プロジェクトマネジメントの概要を解説します。
PMBOKとは?
皆さんは、PMBOKという言葉をご存じでしょうか?
Project Management Body of Knowledge の略で、PMI(Project Management Institute)という組織により定義された、プロジェクトマネジメントに関するガイドです。プロジェクトマネジメントが体系的に整理されており、あらゆるプロジェクトに携わるビジネスパーソンにとって、バイブル的な存在になっています。
プロジェクトマネジメントというと、多くの人は情報システム開発や業務改善の手法と考えるかもしれませんが、プロジェクトの定義に当てはまるものであれば、基本的な考え方は同じです。
プロジェクトとは
“プロジェクト”とは、どういうものでしょうか?
PMIによると、プロジェクトは“独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務”と定義されています。
独自性の高い業務とは、例えば、デジタルトランスフォーメーション、新製品開発、新サービス開始等です。期間が限られているということは、すなわち開始と終了が決まっているということです。期間の制限がないものは、定常業務や季節業務となります。
新型コロナウィルスへの対応、働き方改革、デジタルトランスフォーメーション等、この変化の激しい時代に、独自の目的をもち、期間が限られる取り組みは、皆さんの周りにもたくさんあるのではないでしょうか。
プロジェクトの成功率は意外と低い?
社会の目まぐるしい変化に限られた条件やリソースで対応するために、“プロジェクト”として取り組む事が多くなっていますが、プロジェクトの成功率は、意外に低いのをご存じでしょうか?
それだけプロジェクトを成功裏に完了することは、難しいということでしょう。
プロジェクトの成功率を上げるべく、様々な要素から構成されるプロジェクトを体系的に整理し、言語化することによって、理解し、管理しやすくするために考えられたのが、PMBOKです。
PMBOKでは12の原則と8つのパフォーマンスドメインが定義されています。これらを理解することで、プロジェクトをうまく進めることができます
PMBOKにおいては、プロジェクトを成功裏に完了するだけなく、プロジェクトによって提供されるビジネス価値が実現できているかを強く意識する必要があることの重要性が強調されています。
プロジェクトの成功とビジネス価値の提供が、完全に同義であればよいのですが、ビジネスを取り巻く著しい環境変化を考えると、北極星のようにビジネス価値を定め、より柔軟でアジャイルなプロジェクトマネジメントを実行することが必要とされているのでしょう。
製薬企業におけるプロジェクトマネジメント
医薬品の基礎研究から発売まで、一般的には10年以上かかると言われています。その工程においては、製薬企業社内だけでも、研究開発、信頼性保証、ファイナンス、サプライチェーン等多くの部門が連携しなければなりません。基礎研究や試験の後は、厚生労働省や専門家による審査承認が必要となり、非常に多くのステークホルダーが関与します。
また、各企業は年間数百億から1000億円もの研究開発費を投じて複数の製品を並行して開発します。ゆえに、プロジェクトの観点では、複雑かつ高リスクなものを扱っていると捉えることができます。
製薬企業を取り巻く環境は、様々な外部要因によって変化します。それらに対応して新薬を世に送り出すために、企業全体でプロジェクトマネジメントの知識・理解を向上していきましょう。
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