2022年4月の診療報酬改定において、リフィル処方箋が導入されることが決まり話題を集めました。
本シリーズでは、制度の概要から導入後の影響までを3回にわたり解説します。
第1回目は、制度の全体像を振り返ります。
リフィル処方箋とは?
リフィル処方箋とは、「一定期間内に反復利用できる処方箋」のことです。
症状が安定している患者であれば、医療機関を受診することなく、同じ処方箋を用いて繰り返し(最大3回まで)薬をもらうことができます。
令和4年度診療報酬改定の基本方針(令和3年12月10日)では、「高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる」ために、「医療関係者が共同して、医療サービスの維持・向上を図るとともに、効率化・適正化を図ることが求められる」と示されています。
このような方針のもと、リフィル処方箋は「医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用」を目的に導入されました。
今までの処方箋と何が変わる?
新しい処方箋様式では、
・「リフィル可」欄・1回目~3回目までの調剤(予定)日の記入欄
が新設されました。(下図の赤字部分)
出典:令和4年度診療報酬改定の概要(調剤)(令和4年3月4日版)(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911825.pdf)
より改変
対象となる患者や実際の流れは?
令和4年2月9日に公表された中医協の答申(中医協 総-1 4.2.9)と3月31日の疑義解釈の内容を以下にまとめます。
対象となる患者
- 症状が安定している患者
条件
- 医師と薬剤師の適切な連携を行うこと(医師の処方と、薬剤師による服薬管理)
処方から調剤までの流れ
著者まとめ
薬剤の制限や処方箋の使用期間に注意
リフィル処方箋には、処方上の制限や注意点があります。
処方できる薬剤の制限がある
以下の薬はリフィル処方箋での処方ができません。
- 投薬量に限度が定められている医薬品
新医薬品(発売開始から1年以内)、麻薬・向精神薬などが主に該当します。 - 湿布薬
処方箋の使用期間に注意
- 1回目の調剤は通常の処方箋と同じ(交付日を含めて4日以内)
- 2回目以降は次回調剤予定日の前後7日以内
※次回調剤予定日は前回の調剤日を起点として投薬期間を経過した日(30日処方であれば30日後)
細やかな服薬管理が必要
リフィル処方箋では、医師の診察を受けずに薬を受け取ることが可能になるため、調剤を行う薬局では今まで以上に細やかな服薬管理が求められます。
必要に応じて受診勧奨
リフィル処方箋を調剤する前に、患者の服薬状況等の確認を行います。
リフィル処方箋による調剤が不適切と判断した場合は、調剤を行わず、受診勧奨を行います。
処方医と連携
リフィル処方箋を調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について、必要に応じて処方医へ情報提供を行います。
調剤後も継続的にフォロー
患者の次回の調剤を受ける予定を確認したうえで、予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等によって調剤の状況を確認します。
同じ薬局で調剤
患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明します。
患者が他の保険薬局において調剤を受けることを希望した場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供します。
いかがでしたか?
次回は、海外での導入状況や患者の意識調査の結果をご紹介します。
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