2022年4月の診療報酬改定で導入が決まったリフィル処方箋について、前回は制度の全体像についてご紹介しました。
第2回目は、中医協の資料を基に、海外での導入状況やリフィル処方箋に対する患者の意識をご紹介します。
海外でのリフィル処方箋導入状況
リフィル処方箋は海外ではすでに複数の国で導入されており、対象患者や業務の流れなども国によって少しずつ違いがあります。
例えば、アメリカでは50年以上の歴史があり、対象患者の規制や、有効期限の法的制限もありません。その他の国では、慢性疾患の患者を対象に、6か月から12か月程度の処方箋有効期限とする国が多いようです。
出典:中医協 総-4-2(令和3年12月8日)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000863579.pdf)より改変
リフィル処方箋を希望する患者は50%超
国内では、処方箋の反復利用に対する患者の意向についての調査が行われています。
中医協の資料で取り上げられた同調査の結果では、リフィル処方箋を利用したいと思うと回答した患者は54.9%でした。
「症状が長期に安定しているとき」や「忙しくて診察に行く時間が確保できないとき」に利用したいという回答が多く見られました。
出典:中医協 総-4-2(令和3年12月8日)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000863579.pdf)より改変
2回目以降も同じ薬局を希望する患者が多い
資料の中では、リフィル処方箋で薬の交付を受ける場合に選ぶ薬局の調査も掲載されており、
- 1回目は自宅や職場の近くなど生活圏の中にある薬局
- 2回目以降は1回目に利用した薬局
を希望する患者が最も多い結果となりました。
出典:中医協 総-4-2(令和3年12月8日)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000863579.pdf)より改変
今後の動きに注目
リフィル処方箋は、慢性疾患患者を中心として、一部の国ではすでに導入されており、一定の実績があります。
国内の患者調査においても、「症状が長期に安定しているとき」などに利用したいと考える患者が半数以上いるという結果になりました。
第1回でご紹介した通り、リフィル処方箋により調剤を行った場合は、「継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること」となっています。
しかし強制力はなく、患者が他の保険薬局での調剤を希望した場合は、「当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供すること」となっています。
患者の薬学的管理をどのように継続していくか、他薬局との情報共有をどのように進めていくのか、今後の動きが注目されます。
次回は、リフィル処方箋導入後の影響について考えます。