【コラム】おもわず視聴したくなるWeb講演会の条件とは?  #2 最後まで「魅せる」スライド構成のコツ- デジぽちLab

パンデミックをきっかけに開催数が急増しているWeb講演会。せっかくなら、より多くの医師の興味関心を惹きたいものです。

様々なWeb講演会を視聴し、ダイジェスト動画を制作してきたメディカルライターの視点から、思わず視聴したくなるWeb講演会の条件を探ります。

第2回目はスライド構成について考えます。(「#01 飽きられないテーマ選び」はこちら

最後まで「魅せる」スライド構成とは?

東京オリンピック2020の開会式では、IOCバッハ会長の13分スピーチが長く感じられたことが話題になりました。10分程度の話でも、内容や構成によっては聞き手が辟易してしまいます。

一般的なWeb講演会では60分程度の構成となることが多いので、最後まで視聴してもらうためには、スライド構成にも工夫が必要です。

演者への提案の仕方と合わせて、ポイントを3つご紹介します。

最初に話のゴールと道筋を見せる

ビジネスの場でよく使われている手法ですが、講演会の冒頭で話の要点を箇条書きにしたアジェンダのスライドを用い、話題が切り替わるタイミングで見出しのスライドを示すと効果的です。

スライドのデザインを統一すると、さらに視覚的な効果が高まります。

Web講演会では、「今日はAやB、またCといった話をさせていただきます」と、短く口頭で伝える演者が多く、アジェンダや見出しのスライドが使われているケースは意外と少ないように感じます。

逆に言えば、これらのスライドを挿入するだけでも、視聴者の記憶に残りやすくなるでしょう。

もし事前に演者と講演会のアウトラインについてお話しする機会があれば、アジェンダや見出しのスライドの作成を申し出てみてはいかがでしょうか?

導入部は<起承転結>で攻める

Web講演会に参加している視聴者は、タイトルに惹かれ、トピックに興味を持ち、「どんな話がはじまるのだろう?」「こんなことを聞くことができるに違いない!」と期待して視聴に臨んでいます。

その期待に応えるも裏切るも、導入部次第です。

会場で開催される対面式の講演会とは異なり、Web講演会では、一度「つまらない」と思われたら、即離脱されてしまう可能性があります。

導入部分でよく用いられるスタイルが「起承転結」型の展開です。

今読んでくださっているこの記事も、起承転結で始まっています。

バッハ会長のスピーチを例に挙げ(起)、「構成が練られていないと短い話でも長く感じられる」と一般化し(承)、「講演会の場合はどうなるか」と話の対象を転じ(転)、「講演会こそ話題の構成に工夫が必要である」と締めくくる(結)型となっています。

もし、この導入部がなく「演者への提案の仕方と合わせてスライド構成のポイントを3つご紹介します」の直後から本題に入ったら、訴求力が低下してしまいます。

講演会の場合、例えば臨床試験の概要を紹介するのでしたら、まず疾患の概要を説明し(起)、既存の治療法に触れた後(承)、新規治療の作用機序を解説し(転)、臨床試験の紹介へつなげる(結)、という流れが考えられます。

もし演者から、ストーリー展開について相談されることがあれば、起承転結を意識したスライド構成を提案してみてはいかがでしょうか?

「あえて質問させる」奥の手

講演の準備をしているうちにスライドが増えすぎてしまい、演者の先生から「時間が超過してしまう恐れがある、どうしたものか」と相談された経験はないでしょうか?

このような場合は、思い切って使うスライドの枚数を減らすことを提案してみましょう。

Web講演会では質疑応答の時間が用意されています。

割愛したスライドの内容については、視聴者から質問される可能性がありますから、演者が答えられるように準備しておくと良いでしょう。

あえて「質問に答える」という形で情報を伝えた方が、視聴者に対して強く印象づけることができるかもしれません。

いかがでしたか?皆さまのWeb講演会企画やスライド制作に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

writer

M3DCメディカルライターチーム

コンテンツ制作における文献調査や原稿執筆、学術チェックなどを行う。本サイトでは製薬業界や医薬品関連情報、その他お役立ち情報を発信。