2022年4月に薬価・診療報酬改定が行われます。政府は「骨太方針2021」に、オンライン診療の恒久化や後発品の使用促進などを明記し、必要な制度改正を行う方針を示しました。財務省も、22年度予算編成に向けて、高齢化で伸び続ける医療費の適正化を念頭に、社会保障費の伸びを自然増に収める方針を示唆しています。
製薬業界においては、2年に1回の薬価通常改定に加え、21年度から中間年改定も始まっており、22年4月に予定される薬価引下げ水準の行方に注目が集まっています。
今回は、ミクス編集部独自の取材から、次期薬価・診療報酬改定の注目ポイントを解き明かすと同時に、秋の衆院選を含めた政局の行方や日本医師会などステークホルダーの思惑なども交えながら討論します。
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22年度薬価・診療報酬改定の行方は?
沼田 佳之様(以下敬称略) 皆さんこんにちは、Monthlyミクス編集長の沼田です。
望月 英梨様(以下敬称略) デスクの望月 英梨です。
沼田 本日は、どこよりも早い22年度薬価診療報酬改定の行方〜大胆予測〜ということで、本当にどこよりも早い感じになっておりますが。
望月 早すぎるのではないですかね。話せることも限られていますけれどもね。
沼田 それどころではないですけれどもね、東京オリンピックも始まりましたからね。
今日我々はライブでやっているのですけれども、今ソフトボールの試合でアメリカ対日本は残念ながらサヨナラ負けしてしまいました。そういったところで、少しライブというところを出しながら、明日の決勝に期待したいと思っています。
そんな中で我々は薬価診療報酬という現実的な話を今日は進めていきたいなと思っているのですが。
望月 私は今だけはオリンピックに興味があります。
沼田 望月さんはオリンピックで注目している競技は?
望月 私は断然陸上ですね。
沼田 これからですね、楽しみですね。
望月 沼田さんはどうですか?
沼田 僕はソフトボールの話もしましたけれども、野球もチケット持っていたのですけれども、今回行けなくなってしまって残念なのですが。野球、ソフト、サッカーなど球技も応援していきたいなと思っています。
さて、最初のコーナーに早速進んでいきたいと思います。
中間年改定に関するスケジュール
沼田 はい、出てまいりました。最初はスケジュールから進めていきたいと思うのですけれども、こちらにも示しましたけれども7月新型コロナが感染拡大しているので不安な状況ではあるのですけれども、そうは言ってもこういったスケジュールは着々と進んでいくということであります。
ご存知の通り中医協でのキックオフが、あとで望月さんからもご紹介いただこうとは思っていますが、薬価診療報酬の議論もスタートしたということになりますので、ここからどういう風に動いていくか。
例年年末の予算編成、11月、12月が一つの山になると思いますけれども、改定時期をめぐる議論が進んでくるわけですが、確か今年の1月のデジぽちでもお話したのですが、特徴だけご紹介しておきます。10月21日が衆議院の任期ということで、非常にここが山というかこれによって風向きが変わってくる場面なので、我々はどうしてもオリンピックでそちらの方に頭が行ってしまいがちなのですけれども、終わったときに9月くらいから衆議院の解散が話題になってくるなと想像しております。
今の政権の支持率もちょっと今下降気味ということで、先行きがどうなるかわからないのですけれども、これが今回の改定にものすごい影響があるということもあります。前半戦、序盤戦と言っていいのかわかりませんが、9月以降に多分起こりうるであろうという衆議院の解散、これによる選挙の行方、結果次第ではいろいろと変化はあるかなと思いますが、とは言いながら診療報酬、薬価につきましては、お示ししたように中医協で議論が進められています。
とは言いながらもその下にございますけれども、政府与党の調整は毎年恒例ですが進んでいくと思いますし、それに対して関係団体が働きかけていく流れというものも多分変わらないだろうと思っておりますので、前半戦、秋の選挙ということと、後半になりますと年末の予算編成に向けてと10〜12月というところが一つの山場だと思っています。このようななスケジュール感でみなさんおさえておいて欲しいなと思います。
薬価改定 イノベーションの評価や長期収載品の薬価算定
沼田 早速ですが、ここからが本番になるのですが、22年度薬価・診療報酬改定の焦点というところで、最初にまず薬価改定の方を見ていきたいと思うのですが、こちらにお示ししたものが政府が6月に掲げました成長戦略実行計画ということであります。望月さんの方から成長戦略についてお伝えいただきたいと思います。
望月 成長戦略実行計画なのですけれども、皆さん骨太方針は結構ご存知な方も多いのではないかと思うのですけれども、同じ日に閣議決定されたものです。
とかく骨太方針に今年一年これから起きることが全部書いてあると思いがちなのですが、政府の決定するものの中では優先事項がどれというものはないので、今回に関して言うと医薬品に関しては成長戦略実行計画にかなり内容が書き込まれていたのかなという印象を持っております。
もし骨太しか読んでいなくて、こちらを読んでいないという方がいらっしゃったら、ぜひこの機会に読んでいただけたらいいのではないかと思うのです。医薬品産業は成長戦略の一分野に位置付けられている中で、どういう風に成長させていくか論点になるであろうところを抜粋しております。
一つは薬価制度における新薬のイノベーションの評価や長期収載品等の評価の在り方の検討というものが盛り込まれています。
後発品上市後の類Ⅱ算定における問題
望月 とかく新薬の評価というと、加算されるのではないかということばかり目が行くだろうなと思うのですが、一例を示させていただいたのですが、財務省の権義として新薬の中でも比較的、類似薬効比較方式IIで算定されたものに関しては後発品を含めた形での薬価の、普通比較薬は新薬を対象とするのですが、そうではない算出の仕方もあるのではないかということも提案されていると。
製品名は差し控えますが、プロトンポンプ阻害薬で類似薬効比較方式IIというと、大型の製品でまだ特許が切れていない製品もあるなと思いますので、こういったあたりは正直狙い撃ちにされてもおかしくないかもしれないかなという風に思っています。(笑)
沼田 これ財務省の資料ですからね。財務省の考えであるということは一応付け加えておきたいと思いますけれども。
安定確保医薬品 6割が引下げ対象
望月 あともう一つ、今回改定でも一つポイントになるのではないかなと思うのですが、安定確保医薬品について、ここに書いてあるような「医療上不可欠であり、幅広く使用され、安定確保について特に配慮が必要である医薬品」ということで、医療上必要不可欠な医薬品というと基礎的医薬品を思い浮かべる方もいらっしゃると思うのですけれども、厚労省の検討会の方で安定確保医薬品というものを今年の6月にリストをまとめて公表されました。
望月 医学会の関連学会か、品目を上げてもらって、検討会のワーキングの中で優先して取り組みを行う必要がある医薬品かどうか、カテゴリA〜Cに分けて記載しているということで、最も優先する安定確保医薬品というものがカテゴリAで21成分、カテゴリB、Cというものもあって3分類されています。
安定確保医薬品のリストに載った全部が、と考えたくもなると思うのですけれども、優先度の高いものという風に書かれていますので、カテゴリAもしくはBくらいまで、Cが入るのかどうかは入らない可能性の方が高そうな文章の書き方かなと推測するのですけれども、そういう状況かなという風に思います。
薬価研では21年度、毎年の薬価改定の初年度にあたったわけですけれども、安定確保医薬品の6割が引き下げの対象になったということで出しているのですけれども、カテゴリのA、B、Cの内訳がちょっとよくわからないので、実際A、Bのとこまでが引き下げの対象になったのかよくわからないのですけれども、そういうこともなされているということが現実としてあるのかなというところです。業界としては基礎的医薬品の対象範囲の拡充ですとか、G1、2の長期収載品の引き下げルールからの除外などを求めていくというような考えだと聞いています。
流通改善ガイドラインの見直しも明記
沼田 もう一つ、結構ここが重要なのではないかと見ているところですが流通ですよね。
もともと今回の改定、特に薬価に関しては流通の問題をどう考えていくかというところが焦点だと言われていますけれども、ここもまた簡単にご紹介いただいてもいいですか。
望月 薬価上の課題と申し上げていいかわからないですけれども、今年一年間で政策関連でいうと一番大きなトピックスになることが流通なのではないかと考えています。
流通構造、ここにも書かれているのですが、「製薬メーカーが卸売業者に販売する価格が、卸売業者が医療機関や薬局に販売する価格を上回る商慣行」、一般的に一次売差マイナスといわれるものですが、こういったところに政府も問題意識を示していることが一つ課題かなと思っています。
あとはここにも書かれているのですが、「医療機関・薬局が購入する全品目の価格・割引率をまとめて交渉する商慣行」、一般的に川下と呼ばれる取引の中でも値引き額ありきの商慣行、長年この辺は根付いたもので変えていくことが難しいこともあるかと思うのですが、この成長戦略実行計画の中に流通改善ガイドラインの見直しということがはっきりと明記されたということは非常に珍しいことでもあって、流改懇の中で迫井医政局長がお話しされた時も画期的なことだとお話しされていて、すごくこういうことが具体的に書き込まれることは珍しいなと私も印象を思っていまして、逆に言うとそれだけ政府としても重要度が高い政策だと考えているのかなと思います。
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【トレンド】コロナ禍での診療報酬改定~22年度薬価・診療報酬改定の行方【2/3】~
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