10年前どんな薬が登場したかご存じでしょうか。本記事ではM3DCのメディカルライターがその知見を活かし、最近の医薬品・疾患関連情報を合わせて簡単にまとめました。
薬の歴史を知ることで、いつも目にする薬の違った一面が見えてくるかもしれません。明日からの会話のきっかけにご活用ください。
第3回目は糖尿病治療薬を取り上げます。
2011年はDPP‐4阻害薬の市場が急成長
2011年に薬価収載された糖尿病治療薬は以下の通りです。
2011年当時は、DPP‐4阻害薬の市場が急成長しており、2009年のグラクティブ / ジャヌビア(シタグリプチン)、2010年のエクア(ビルダグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)に続いて、2011年にはトラゼンタ(リナグリプチン)が登場し、4成分5製品が競合することになりました。
DPP-4阻害薬はさらに薬剤が増え、約10年経過した2020年のデータでは、糖尿病治療薬市場におけるDPP-4阻害薬の売上シェアは約54%と半分以上を占有しています。
新機序の経口血糖降下剤が登場
2型糖尿病治療薬「ツイミーグ錠500mg」(イメグリミン塩酸塩)が国内での製造販売承認を2021年6月に取得し、同年8月には薬価収載されたことが発表されました。
同薬は、既存の経口血糖降下剤とは異なる構造と、2つの血糖降下作用をもつ、新しいクラスの経口血糖降下剤であり、承認は日本が世界で初めてとなります。
2014年にSGLT-2阻害薬が登場して以来、久しぶりの新規作用機序の薬として、今後の動向に注目したいと思います。
治療薬だけではなく、糖尿病患者さんをサポートするツールも進化を遂げています。最近の話題を2点ご紹介します。
進化する患者サポートツール
血糖自己測定を支える「自己管理ノート」が四半世紀ぶりに改訂
糖尿病患者さんの中でも治療でインスリン注射を行っている場合は、きめ細かい血糖値のチェックが欠かせません。
「自己管理ノート」は、そうした患者さんの血糖自己測定をサポートする目的で 1995 年に日本糖尿病協会が発行し、現在まで診療現場で活用されています。
ノートは複写式になっており、患者さんが朝・昼・夕・眠前の血糖自己測定の数値を記入します。
診察の際に複写ページを主治医に提出し、主治医は検査結果とともに、自己管理ノートに記載された数値を参考にして、治療内容を決定しています。
このノートが2021年4月、四半世紀ぶりにリニューアルされました。改訂のポイントは次の通りです。
1. 血圧、体重、歩数を記載する欄が新設
従来版は血糖値のみを記録するノートでしたが、改訂版では糖尿病治療で重要な血圧と体重のコントロール、日々の運動の動機づけを行えるよう工夫されています。2. 検査結果記入ページが縦開きから横開きへ変更
1ページあたりの記入日数を16日分から10日分に削減したため、スペースが拡大し、記入しやすさが向上しています。複写式の部分も切り取り易くなりました。3. 表紙や説明ページに日本糖尿病協会のマスコットキャラクター「マールくん」を採用
日々の自己管理に楽しさや明るさをもたらしています。また、表紙の色には糖尿病のモチーフカラーである「ブルー」が使われています。国内初!スマートインスリンペンとは?
インスリン投与データを自動記録できる「スマートインスリンペン」も登場しています。
2021年6月に、スマートインスリンペンの「ノボペン6」と「ノボペンエコープラス」が医療機器製造販売承認を国内で初めて取得しました。
インスリン投与データをスマホアプリと連携することで、患者さん自身のインスリン投与データを経時的に記録し、振り返ることができます。
注入ボタンを押した履歴をNFC対応のスマホアプリに無線転送できるほか、最後に注入ボタンを押したときからの経過時間・設定単位数も表示可能です。
印象に残る周年イベントを
発売前後、3年、5年、10周年という節目のイベントは、医療従事者や患者さんなどすべてのステークホルダーに製品の価値を改めてお伝えする良い機会です。
製品ライフサイクルに合わせた特別な企画・演出等で盛り上げたいですね。
以下の参考動画では、製剤ライフサイクルに合わせたWeb講演会企画の例もご紹介しています。