2回目のゲストは株式会社JMDC COOの杉田 玲夢様にお話を伺います。
インタビュアーはMonthlyミクス編集長 沼田 佳之様です。
本記事は日本最大級の製薬・医療業界特化型動画サイト「デジぽち」で2022年8月より公開している動画のテキスト版です。内容は当時のものとなりますのでご了承ください。 ▶ 動画版のご視聴はこちら(無料) ▶ デジぽち最新の動画はこちら |
客観的なデータは、医療や製薬にとって必要不可欠
沼田 佳之様(以下敬称略)Monthlyミクス編集長の沼田です。デジタル医療革命第2回目は JMDCの杉田玲夢氏をお招きしてお話を伺いたいと思います。テーマは「JMDCが描く未来像」です。
リアルワールドデータを含めたビッグデータのデータ利活用についてお話を伺っていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。最初はJMDCの会社のご説明からお願いできますでしょうか?
杉田 玲夢様(以下敬称略) どうぞよろしくお願いいたします。
沼田 JMDCは20年リアルワールドデータを扱っており、大きな事業の枠組みには病院と健保組合から患者さんのレセプトのデータを1,000万人ずつ分お預かりをしています。
それを健保や病院の為に使いつつ、匿名化した上で保険会社や製薬会社にも提供しています。従業員は現在400名ほど、売上は100億円弱に成長している会社です。
沼田 ここ最近は非常に成長されていると感じています。 ミクスの連載でも今JMDCの企画が進行しているので、ご存じの方もおられるのではないでしょうか。
早速ですが、健保組合のレセプトデータには、入院や外来、調剤を含めてデータがあると思います。 検診データも扱っていらっしゃるそうですが、このようなデータで何ができるか具体的なイメージをご紹介いただけますか?
杉田 レセプトのデータは皆様がクリニックを受診した時に受け取る診療明細のデータで、「いつどこを誰が受診し、どのような検査を受け、どんな処方薬が出たか、裏ではどういう病名が付いているか」をためているデータでもあります。
主な使い方は2つあります。
1つ目は、弊社が所有している1,000万人分のデータを、ある時点で断片的に切り取ってみると 「どのような病気で、どういう状態の患者さんが日本に何人くらいいる」 「その中で薬剤がどのぐらいのシェアで使われている」といった風に、日本のその疫学的な分析をする役割を担っています。
もう1つは1,000万人ほどのデータを時系列で約10年分所有しているので、ある一時点の疫学が時間と共にどのような変化をしていくかの分析することも多いです。
例えばですが、最初このような状態の患者さんが5年後に脳梗塞になる確率は何%ぐらいあるのか?といった疾患の発症リスクの予測にも使うこともあります。
沼田 健保組合のデータというと、現役世代の方のデータが殆どではないでしょうか。 現役のサラリーマンを筆頭に健保へ加入している方々のデータなので60才ぐらいまでかと思います。 高齢の方のカバー率は、あまり高くないのでしょうか?
杉田 基本的には企業の健保の方なので65才未満の方が大半です。 ただJMDCには病院からも1,000万人分のレセプトのデータをいただいており、こちらは病院に通う全年齢の方が対象となっています。
記憶ベースから事実ベースへの情報転換
沼田 このデータを活用することによって何が変わってくるのでしょう。 点で見る面と、面で見る面と両方あると思いますが、どのようなデータ活用が想定されていますか?
杉田 これも概念的なお話から入ると、リアルワールドデータが出てくる前の世界は非常に主観的なデータや、定性的なデータが殆どでした。
主観的なデータとは、製薬会社が日本の処方の動向を知ろうとしたら、患者あるいはドクターからアンケートをとる、 ヒアリングをするなどして取得するデータのことです。
それに対し、レセプトで客観的なデータを一定のボリュームで蓄積する事によって定量的かつ客観的になります。例えば患者さんが問診で書く情報などは、従来は記憶による主観的なデータでしたが、本当の既往歴や服薬歴などがある程度客観的に・事実ベースで情報が取れるようになる所が一番大きな変化かと思います。
沼田 なるほど。例えば患者さんなら、自分の薬はわかるが病気がどう進行することが予測されるか、あるいは継続的に患者さんをケアしている医療者にもお役立てできるデータということでしょうか。
杉田 そうですね、患者さんとしては、ご自分の過去の通院や処方の履歴がデータで蓄積されることで安心にも繋がります。 ドクターにとっても、診察の際に病歴や服用歴が閲覧しやすくなるデータになります。
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【トレンド】創薬から医療の質向上まで活用が進むリアルワールドデータ~JMDC杉田COOインタビュー【2/3】~
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